三浦文丈監督

今日は僕を最も長い時間ピッチに立たせてくれた、僕にとって最高の監督である文さんとの1年半を振り返ろうと思います。


「俺はね、諦めが悪い男なんで、最後今治で絶対勝って待ちます!」

これは昨年最終節のひとつ前の秋田との試合後の文さんの言葉です。代名詞の「あきらめの悪いおとこ。」のきっかけとなったものです。昇格するには、最終節に勝った上で、ライバルの長野が負けることを祈るしかない状況でした。

正直に話しますが、秋田に勝てなかった時点で僕は昇格を諦めました。この状況で秋田に勝てないチームが昇格できるわけがない。長野がこのチャンスを逃すわけがない。サッカーを続けられるか分からない状況から始まったこの1年間で、何かに期待して頑張り続ける事ができなくなってしまっていました。

今治との試合前の文さんとの会話が印象に残っています。

「ばち、ゴール決めるだろ?」

「決めますよ。」

反射的に答えました。ごく普通のこの会話を僕が覚えているのはいつもと違ったからです。基本的に「今日も狩ってこい。」「シンプルにな。」など、僕に僕以上の事を求める発言はしない人です。この日だけ違ったのです。

振り返ってみると、秋田戦後みんなが必死に前を向いて切り替える中、1人沈みに沈んでいた僕に対して異なるアプローチをしてくれたのではないかと思うのです。

結果、長野は敗れ、今治との試合に勝利した相模原の昇格決勝ゴールを僕が決めることになります。ちなみにゴール後ほとんど喜んでいません。普通昇格のかかった試合でゴールを決めれば喜びを爆発させるものです。これは僕が長野が負ける事に全く期待していなかったことの表れです。(チームメイトにはスカしていたと言われます😎)当然ゴールするのはいつだって最高です。ただあの日のゴールはテンションの上がるものではなかったのです。チームの諦めない気持ちが僕にゴールをプレゼントしてくれました。

「昇格」という事について執着しきれない僕に対して、「昇格がかかってるんだ。気合を入れろ。」と言うのは簡単だったと思います。(僕に気合が入っていなかったわけではありません。「普通の試合」として臨んだという意味です。)でも文さんは別の言葉を僕にかけてくました。どういう意図があったのか聞くつもりはありません。改めて僕を良くマネジメントしてくれた監督だったなと感じています。(マネジメントにも興味がでてきました。)

ちなみに僕は秋田の前の沼津との試合でキャプテンマークを託されていました。副キャプテンでもない僕が巻いた理由は未だに謎です笑。梅君に渡すつもりがマネージャーが間違って(梅)鉢に渡した、というのがまことしやかに囁かれています😎

キャプテンは試合前に必ずロッカーで話します。チーム一丸となって闘う為です。僕はアップの間ずっーと考えました。何言ったらええんやろって。僕の言葉は

「俺たちは強い。」

です。みんなが笑いを堪えているのが分かりましたし、試合後には総攻撃を喰らいました。

勘のいいスラムダンクファンの方ならお気づきになったのではないでしょうか?

冒頭の「あきらめのわるい男。」というのは三井寿の言葉です。もちろん「俺たちは強い。」は分かりますよね?文さんのユーモアさが表れていますよね。非常に厳格な方でしたが、選手とのコミュニケーションも大切にされている監督でした。

自分に出来る事に100%コミットする。口で言うのは簡単です。しかしそれを実践し続ける姿勢を見せ続けてくれました。

苦しい状況は続きます。あきらめの悪い男はもういません。けれど僕らは諦めずに闘い続けます。

文さん、ありがとうございました。

コメント

  1. ウメ派 より:

    素敵な文章、ありがとうございました。
    今治戦前のエピソードに心震わされました。
    『選手 梅鉢貴秀』の価値を最も理解し、最も活かした文丈監督。
    梅鉢選手が続・諦めの悪い男になって、新しい監督とともに勝ちを重ねていきましょう!

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